2017年8月28日月曜日

静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話 宇野 常寛  その3

前回

第5章 猪子寿之
◆単にコストカットと最適化だけが追求される社会なんて、憧れの対象になるわけがない。そうではなくて、理想的な世界のイメージを提出するには文化の力が絶対に必要。文化の領域でビジョンを出していかないと、人を動かすことはできない。
◆頭がいい人たちが思っている以上に、人々は「かっこいい」みたいな基準で物事をジャッジしているから、美の概念がバージョンアップすると、社会そのものもいずれ、求めていた世界に変化していく

◆お金を持った偉い人が「アートを大切にする」なんて言って、クラシックのコンサートを開いたりマネとかモネとか買ってる場合じゃない。何を支持して、何を達成したいのか。そのビジョンのために美の基準をバージョンアップすべき
◆どういう「美」を推し進めたら日本が生き残りやすくなるか。大航海時代に、ヨーロッパが武力でアジアやアフリカを植民地にする時だって、軍人や政治家だけでなく、宣教師も一緒についてた。力だけではなくて、ある種の価値観や「美」を変える仕組みをセットにすることが、昔から重要だった
◆インターネットが生まれたことで「表現すること」の敷居は下がったように見えた。しかし実は逆で、個人単位での発信が平易になると、個人間の才能の開きが露骨に見えるようにもなった。

◆場の空気が決めていることを「天皇」というキャラクターが決めたことにすることで個々人が責任を回避するための装置として機能してきた
◆コミュニティの中で実在しない人格を実在するかのように扱うこと、そしてその架空の存在、つまりキャラクターを介して個人が間接的に社会にコミットする、というのが日本の文化の本質にあると思う
◆日本のキャラクター文化って「性的なもの」と結びついている。昔から今に至るまで、セクシャルなイメージの回路を使って、キャラクターと言う感情移入装置を稼働させてきた。猪子さんの場合はテクノロジーで補っている。

◆文化を作る者には固有名詞からトップダウン的に創造されるものと、コミュニティからのボトムアップに生成するものという、二つのクリエイティビティがある。そして、この2つは大きく分断されている。
◆ジャンプが実践しているのは、作家と編集者のユニットで一旦閉じてしまって、日本の業界のどこともつながってなくていい、という割り切り。



第6章 尾原和啓
◆ここ20年の日本のインターネットの進化史をある視点から見れば、この先の民主主義のあり方だとか、共同体を作っていくための手がかりや道具がたくさん埋まっている。
◆尾原さんの「ITビジネスの原理」のなかでは、アメリカのインターネットは確かに「コストカットと効率化」が重視されているけれど、日本的な情報社会では「無駄と過剰性」を生むところにポテンシャルがある、と一貫して主張されている
◆結局、「過剰なもの」は僕たちのパワードスーツ。ある種のコミニケーション消費というか、「自分が強くある」と言う感覚を含めて、着ている気がする

◆選挙って短期戦だから、炎上マーケティングの方が効果が高い。炎上を起こして100万人の敵を作ると1万人ぐらいの味方ができて、その1万人の味方は熱量が高いから投票に行ってしまう
◆戦後の日本で言えば、農協は自民党、連合は社会党と結びついていて、田舎の農業従事者と都市の工業労働者の利益をそれぞれ代弁していた。でも社会が複雑化すると、自民党にも社会党にも自分の利益を代弁してもらえない人たちが出現し、都市部を中心とした浮動票になる。浮動票となった人たちは、マスコミによる世論形成に強く影響されて投票を行うようになる

◆ネットが社会の一部になった今だからこそ、ネットで起こったことが本当に現実社会を変えるようになる。その時一体何が課題になるのか?

◆効率化によって既得権益を壊すだけで、新しいものを生み出す量が少ないというネットのマイナス面だけを見て「ネットは悪いもんなんだ」と思って欲しくない
◆この「過剰性」をちゃんとポジティブに捉えられるようになると、楽天のように「物語を生む」ことでお金を払ってもらえるようになったりする

◆今まではコミュニティーを形成して集まったとしても、そこに集まった人たちの悩みを解決してくれる生活インフラが提供されないから、コミュニティを作る意味がなかった。◆これからは、ネットを使って彼らのライフスタイルに合った良い生活インフラを、コスト破壊して簡単に提供できるようにしてあげれば、集まる意味ができてくる

◆今までのシェアって、airbnbのように空いているキャパシティーを有効活用しようという観点からしかビジネスを作っていなかった。
◆シェアを通じてライフスタイルを群体にすることができるならば、必要とされるファイナンスサービスはこれで、ヘルスケアサービスはこれだというような形で、生活インフラを束ねたベクトルにできる。そしてライフスタイルが群体になると、政治に対しての圧力という話につながってくる
◆同じようなものを使用したいと思っている人や、同じものを必要としている人同士での連帯の可能性の方を目的にすべき

◆インターネットの良いところは「嫌な同調圧力をかけられたら他のところに行けばいい」という状況を生んだこと
◆6人のコミュニティだと空気を読まなければならないけど、500人とか1,000人のコミュニティになれば「既読をつけているのに返事をしない」とか、そういうことを気にしても仕方なくなる
◆いじめって30人や40人の規模で1カ所に集めているからなくならない。大学の大講堂みたいなところで授業やって、コマごとにメンバーが入れ替わる形式であれば、いじめなんて起こらない。起きたとしても逃げやすい。つまり、規模が大きくなると、ローカルな文脈の空気がどうでもよくなる

◆「子育てが楽しい」「子供がかわいい」とか、そういうシンプルなところで子供を作るということを動機づける以外には考えづらい。現状ではその「楽しい」というメリットの対価として、母親のキャリアが一瞬で水泡に帰すと言う大きすぎるリスクを負わなければいけない


つづく
その4 ラスト



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