2016年1月11日月曜日

日本経済こうすれば復興する! 竹中平蔵 2

「日本経済こうすれば復興する!」
竹中平蔵 2011年出版



○政務官その他の数を増やして霞が関に送り込むことは、「案」を引き続き霞が関の中央官庁で作ること。本当の政治主導をやりたいなら、予算案や法律案は永田町の政治家たちが作り、その執行だけを霞が関の官僚たちに任せるべき
○審議会委員には、学問的に権威のある難しい本を書き、何となくもっともらしく見えて、しかも足元のことがよく分からないタイプの学者がいちばん好まれます。
○日本がTPPに参加すると、加盟国・交渉国に日本を加えた10カ国のうち日米の占める比率が圧倒的で、かなり日米FTAの色彩を帯びる。
○日本では、自己資本比率が低下してゼロに近づいた「りそな銀行」に対して資本注入を、マイナスになった足利銀行は一時国有化した。これは各国の常識的なルールで、日本では預金保険法102条に基づき政府が介入できる。

○重要なのは、有効需要の創出が供給に対してどう影響するかである。経済というのは、長期的には供給サイドを強くしなければ発展しない。
○福田康夫政権までの自民党政権は基本的に自助自立の経済を目指していた。自助自立こそが経済の大原則であり、自助自立の人や企業が増えれば増えるほど、真の意味での弱者を助けることができるという考え方。




第4章
○増税で景気がよくなるケース
⑴コンフィデンス・クライシスが起こって、民間が萎縮し、お金を使わなくなった場合、増税によりだぶつくおカネを集めて公共事業などに使うと、景気が良くなることがある。典型的なケインズ政策。
⑵民間の企業や家庭がおカネを使うより、国が使う方が効果が大きい場合。→あまり考えられない。
→現在の日本ではどちらもない。

○小泉政権の三位一体改革。補助金削減、税源移譲、地方交付税の見直し
○私たちは税金の3分の2を国に、3分の1を地方に払っている。しかし、支出の3分の2は地方が、3分の1は国が使う。つまり3分の1を補助金や地方交付税として国から地方に移転する。
○ある程度の公共事業を実施しなければならないことはたしかです。公共事業を削減しすぎると、どうしても地方に悪影響を与えてしまいます。だから小泉政権でも、毎年3%ずつの削減にとどめた
○日本にとって必要なことは「経済と財政の一体改革」であるにもかかわらず、「税と社会保障の一体化」だけをやろうとしている

○ハーバード大学の経済学者アルバート・アレシナは、ケースの比較検討から、まず増税政策から財政再建を始めた国は、必ずといってよいほど失敗しているとした。
○「アレシナの黄金律」
財政再建に成功した先進国は、歳出削減で減らした金額と増税で増やした金額の比率が、だいたい「7対3」か「2対1」になっている



第5章
○デフレでも下がらないものは「過去の数字」。具体的には、過去に借りた借金総額であり、毎月の返済金額
○円高を止めるには、デフレを止めることこそ必要
○中央銀行の独立性
 ⑴「政策目標」の独立性(政策目標を独立して決める)
 ⑵「政策手段」の独立性(具体的な政策手段を独立して決める)
○低い成長率という前提は、政府の一部にとってはたいへん都合がよいもので、経済が悪くなっても責任が問われない
○実質成長率については、成長会計という観点からは次の3つの合計
⑴資本の伸び
⑵労働の伸び
⑶全要素生産性(TFP =Total Factor Productivity)の伸び
○日本銀行が供給するおカネは、膨大な預金通貨を生み出す強い力をもつという意味で「ハイパワードマネー」と呼ばれる
○ハイパワードマネーの1つは「預金」、もう1つは「現金」
○日銀が06年までにやった量的緩和は、もっぱら前者の預金だけで、現金については充分やっていない
○日銀が量的緩和に及び腰なのは、日銀のバランスシートが大きくなるためで、そのGDPに対する比率をできるだけ小さくしたいから

○問題は年金不安ではなくて、歳をとった将来、毎月受け取る年金に自分の所得を合わせて生活していくときの自分の稼ぎ
○20歳で勤め始めて40年間働き、退職後の20年間(80歳まで)年金を受け取るとすると、収入が年金だけの期間は60年の3分の1なので、現役時代40年間を平均して全収入の3分の1を、使わずに年金の積立金として残しておかなければいけない

○アメリカは、食品とエネルギーを除外した物価指数を作って「コア指数」と呼んでいます。ところが日本のやり方は「生鮮食品を除く総合」お物価指数を作って、これを「コア指数」と呼んでいる。同様の数字を総務大臣のときに指示したところ、「コアコア指数」と呼んでいる。
○ネガティブ・サプライ・ショック
原油や鉄鉱石の値段が上がれば、アウトプットの価格に転嫁できるまでにタイムラグが生じ、日本の企業は利益を減らす
○政府が行う政策には、「ポリシー・トゥ・ヘルプ」(救済政策policy to help)と「ポリシー・トゥ・ソルブ」(解決政策policy to solve)の2つがある
○引き上げられた消費税5%分のうち半分は若い世代の社会保障に使い、残り半分は成長強化のために使うべき

その1




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